整体師の為の法律問題

勉強を始める前に知っておきたい整体関連の法律

整体師を含む手技療法・セラピストを目指すなら、絶対に知っておかなければならない法律の事をまとめました。
無知は罪です。『知らなかった』で済まさないように。

医業類似行為

医業類似行為といえば、按摩指圧マッサージ・鍼灸・柔道整復をさします。これらの行為を行なうには、これらの国家資格が必要です。つまり整体は医業類似行為ではありません。
しかし、多様な判例、厚生労働省の見解を見たところ、整体やカイロを『その他の医業類似行為』と定義しているものも見受けられます。(いわゆる民間療法)

民間療法

民間療法とは、柿の葉やアロエの葉を用いたシップだったり、風邪をひいた時喉にネギを巻いたり、ショウガで身体を温めたり、という昔から伝わる『おばあちゃんの知恵』的な療法の事です。

昭和35年1月27日 最高裁大法廷判決

人の体に害を及ぼす恐れの無い範囲、健康の維持促進に止まる範囲で、民間療法を生業とする事は職業選択の自由から認められています。
(参考:http://blog.livedoor.jp/cooshot5693/archives/52416215.html
医療行為と違って『毒に薬にもならん』。それが民間療法という位置づけです。

職業選択の自由

日本国憲法第22条第1項>>>Wiki
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
(公共の福祉に反するという事はつまり身体に害が有るという事です)

マッサージの定義

長い間曖昧だったマッサージという行為ですが、2004年、厚生労働省により『施術者の体重をかけ、対象者が痛みを感じる行為』と定義付けされました。
これはつまり、『体重をかけ対象者が痛みを感じる行為』を国家資格者以外が行なった場合、人体に危害を及ぼす恐れがあるので処罰の対象になるという事です。

害を及ぼす恐れがあるので禁止されている行為

以下は平成3年カイロプラクティックに対する取り扱いの中で厚生労働省が出した通知ですが、同じ民間療法と位置づけされる整体にも適用されるものと思われます。

カイロプラクティック療法に対する取扱いについて
近時、カイロプラクティックと称して多様な療法を行う者が増加してきているが、カイロプラクティック療法については、従来よりその有効性や危険性が明らか でなかったため、当省に「脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究」のための研究会を設けて検討を行ってきたところである。
今般、同研究会より別添のとおり報告書がとりまとめられたが、同報告においては、カイロプラクティック療法の医学的効果についての科学的評価は未だ定まっ ておらず、今後とも検討が必要であるとの認識を示す一方で、同療法による事故を未然に防止するために必要な事項を指摘している。
こうした報告内容を踏まえ、今後のカイロプラクティック療法に対する取扱いについては、以下のとおりとする。

1.禁忌対象疾患の認識
カイロプラクティック療法の対象とすることが適当でない疾患としては、一般には腫瘍性、出血性、感染性疾患、リュウマチ、筋萎縮性疾患、心疾患等とされて いるが、このほか徒手調整の手技によって症状を悪化しうる頻度の高い疾患、例えば、椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、骨粗 しょう症、環軸椎亜脱臼、不安定脊椎、側彎症、二分脊椎症、脊椎すべり症などと明確な診断がなされているものについては、カイロプラクティック療法の対象 とすることは適当ではないこと。

2.一部の危険な手技の禁止
カイロプラクティック療法の手技には様々なものがあり、中には危険な手技が含まれているが、とりわけ頚椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要があること。

3.適切な医療受療の遅延防止
長期間あるいは頻回のカイロプラクティック療法による施術によっても症状が増悪する場合はもとより、腰痛等の症状が軽減、消失しない場合には、滞在的に器質的疾患を有している可能性があるので、施術を中止して速やかに医療機関において精査を受けること。

4.誇大広告の規制
カイロプラクティック療法に関して行われている誇大広告、とりわけがんの治癒等医学的有効性をうたった広告については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、 きゅう師等に関する法律第十二条の二第二項において準用する第七条第一項又は医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第六十九条第一項に基づく規制の対象と なるものであること。

2018年6月1日より施行された改正医療法における広告の規制について、こちら↓にまとめました。

整体師・セラピストも厳守しよう!医療法改正による広告規制についての話 | 整体師パンチ伊藤公式ブログ

2018年6月におこなわれた医療法改正による広告規制について、民間療法の整体師・セラピストが心しておきたいことをまとめました。

いかがでしょう。『整体は民間療法』という立場を良いことに、法に準拠してない整体院・サロンが多すぎるように思うのは私だけでしょうか。

ルールを守って人に迷惑をかけないからこそ自由を楽しめると心しましょう。

実際の逮捕例

あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師等に関する法律違反

  • 『マッサージ師の派遣をする』という契約のもと、整体師の派遣をしていた派遣会社の会長と社長
  • 不法残留で整体を行っていた中国人と、雇っていった整体師
  • 無免許治療かつ不正請求の整骨院
  • 無免許で鍼治療

詐欺や不法残留・不法労働を摘発するためのいわゆる別件が大半。
整体師は整体を名乗り、あん摩マッサージ指圧・鍼灸は行わないこと!ウソをつかない事!

医師法違反、業務上過失障害、過失致死

  • 子宮筋腫揉んだら治る事件
  • 電気治療で大やけど事件
  • 赤ちゃん整体を提唱するNPO代表、頚椎へのスラストで幼児死亡事件

これらはもう法律違反とかいうレベルではなく刑事事件です。
主観ですが、NPOとか社団法人とか、『きちんとしている風』はかえってロクでもない事の方が多いような気がします。

準強制わいせつ、強制わいせつ罪

わが町湘南台でも、10年ほど前にカイロプラクターが逮捕されました。正直キリがないので書きませんが・・・

どれもこれも、『民間資格だから』で語れる事ではありません。

守りも縛られもしない

『人として』。
嘘をつかず誠意を持って、出来ることをやる。それにつきます。

取り締まる法律がない分守られる法律も無いのが整体師を含む民間療法です。全部自己責任。知らぬ存ぜぬでは通りません。
施術だけでなく経営・運営にも通じる事ですが、先ずはちゃんと知ること。知らずに嘘をついたり誰かを傷つけたりしないように、根拠ある知識を学びましょう。