健康の条件としていまだ囁かれている『規則正しい生活』。早寝早起きで1日3食決まった時間に食事を摂ることが健康作りに欠かせない事のよう刷り込まれていますが、果たして本当にそうなのか?という疑問をメリット・デメリットに分けて解消するとともに、【規則正しい生活】と【ルーチン】の違いを考察してみたいと思います。

規則正しい生活のメリット・デメリット

規則正しい生活のメリット【自律神経】

規則正しい生活のメリットを考えて行き着いたさきは『自律神経』。
1日のサイクルの中で交感~副交感と波打つ自律神経と行動をリンクさせやすいのが『規則正しい生活』の唯一のメリットだと思います。(他に何か思いつく人、教えてください)

生活のリズムが不規則だと自律神経が乱れる。未だに「規則正しい生活」が推奨されるのはこの1点に尽きると思います。

ただし毎日決まった時間に寝たり食べたりする生き物は人間くらいしかいないわけで、案外不自然な行動だと思うのですがいかがでしょう。お腹空いてないのに食べてる人いません?
眠たくなったら寝る、お腹がすいたら食べる。それが自然でしょう。

規則正しい生活のデメリット【条件反射】が増える

学習能力の高い人間にとって規則正しい生活は実はとっても楽です。楽をメリットと捉える人もいるでしょうけれど、『なぜ楽なのか』考えてみるとちょっと怖いことが見えてきます。

無条件反射はもちろん条件反射といえども反射は頭(脳)を介しません。規則正しい生活を送っていると、頭なんか殆ど使わなくて条件反射で済んでしまうようになる。実際に慣れきった道で起こる『無思考型』と呼ばれる交通事故もあります。ほとんど無意識、脳を使わず反射で運転しているために起こる事故です。

先日の我が教室では『ゴミを出したかどうか忘れてしまう』という人も何人かいました。
今日、どちらの脚からパンツを履きましたか?靴下を脱いだのはどちらの足からですか?お尻を拭いたのはどっちの手ですか?即答出来る人はほとんど居ないと思います。

『規則正しく』『いっつも同じ』は偏り(ストレス)を生むばかりか思考も無くなる。“楽”だけれど良い事はあんまりない。まして楽しい事なんて起こるわけがない。【楽】と【楽しい】はベクトルが違うのであります。

条件反射は使いよう

反射も使いよう

後天的に学習して身につく条件反射的な身体の使い方、平たく言うと『癖』が筋肉のコリを生み身体を歪め、筋骨格系の痛みを引き起こすわけで、必要以上に増やしたくないのが条件反射です。脳と肉体をきっちり繋いで意識的に身体を動かすことは【整体】を目指すならとても大切なのです。

ただし、人間の脳は大きいくせに案外不器用なので、いくつも同時に【意識】することが出来ません。意識的に右手を動かしている時左手は感じられないし、考え事をしている時肉体を感じる事はできません。
超高速で意識を巡らせることは出来ますが瞬間瞬間はひとつしか認識できない。だから動作の大半は学習して習慣化された条件反射なのです。

スポーツでも楽器でも、訓練を積んで身につけた条件反射が欠かせません。
何事にもメリット・デメリットはある。条件反射にも良いのと悪いのがあるわけです。

見ることなく見る、聞くことなく聞く、感じることなく触れる、味わうことなく食べる、筋肉を知覚することなく動く、匂いをかぐことなく息を吸う、考えることなく話す。『レオナルド・ダ・ビンチ』

規則正しい生活で悪い条件反射ばかりが増えて、ダビンチ嘆いたような人間にならないようにしたいもんです。

規則正しい生活とルーチンの違い

真面目に歩く『歩行禅』という整体

【次の1歩を何処に着くか】真面目に歩かないと死んじゃうようなところを歩くと、頭と身体がきちんと繋がる。『歩行禅』というお話し。

ちょっと危ない山道などで1歩1歩集中して歩くことを【歩行禅】というのだと思っていましたが、正しくは「同じことを同じように繰り返していると悟る可能性がある」というお釈迦様の教えから、歩行禅をルーチンにしなさいというのが提唱者さんのアドバイスでした。(歩行禅提唱:塩沼亮潤大阿闍梨

有名なイチロー選手の朝のお勤めも歩行禅も実はワタクシの施術もルーチンです。それは決して規則正しい生活で身体に染み込んでしまう条件反射的行動ではなく、しっかりと脳みそを介して感じながら意図的に繰り返すもの。

いつもとの違いに気付くためいつも通りの事を繰り返すのがルーチン。ルーチンだからこそ気付くことがあるわけです。

施術はルーチン

ルーチンの意味を調べると『決まりきった仕事、日々の作業』などと出てきますが、それだと条件反射になりそうなのでちょっとニアンスが違うように思います。

淡々とこなす、けど決して慣れない、反射的にしない。それがルーチン。効率を求めて行なうものではありません。

規則正しい生活は健康の条件じゃない

健康の秘訣として語られる事が多い規則正しい生活は、慣れを生み条件付けを経て生活そのものを条件反射で可能にしてしまう。

野生では明日食べ物にありつけるかどうかわからないから本能はカロリー消費を押さえようとする。人間にもそんな野生がほんのちょっと残っているので酸素消費量の多い脳を働かせたくない。だから何かと規則正しく習慣化して条件反射にしてしまおうとするけれど、条件反射になるほどの規則正しい生活は脳の退化に繋がるわけです。

確かに、運動したりブログを書いたり習慣化してしまわないと続けられない事は沢山あるので、そういう事は規則正しくしたい。けれど日々の生活における動作や行為においては、必要以上の条件反射を増やさないようなるべく不規則に慣れないようにしていた方が脳も身体もボケず活き々していられるはずです。

『規則正しい生活』が健康の条件だと刷り込まれているのは、国民から思考を奪うための策略かもしれませんな。

規則はいつか破るためにある

規則正しく10年間続いてきた新春望年会の規則を先日破いてみました。10年間皆勤賞だった方々が誰も居ない実に感慨深いものでした。
2019、2020と色んなモノの規則が変わます。変わらされるより自ら変わっていきましょう。

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書いている人

パンチ伊藤
あっとう言う間に整体師歴19年。現役で施術する傍ら小さな整体塾を主宰しています。当たり前な解剖生理と簡単な物理を繋いだわかりやすい身体の話が得意。釣り/山/島/音楽/映画/生きもの/が好き。2020年から自然農の畑やってます。

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