今や一般名詞になった骨盤矯正。何処のどなたが言い出しのか知りませんけれど、この言葉のおかげで整体のニーズが大幅に広がったのは間違いありません。感謝々。
産後に骨盤矯正するのはまるで当たり前の常識みたいになっていますが、果たして骨盤矯正ってどこをどうしているのでしょうか。

骨盤がゆがむってどういうこと?

グラフィックソフトなので恥骨が開いちゃってたりしてちょっと大雑把ですけれど、これが骨盤です。

骨盤

もうちょっと詳細に手書きしたものはこちら。

骨盤帯

腸骨、坐骨、恥骨が20歳ほどで完全に癒合して出来る左右の寛骨が、真ん中の仙骨とくっついて骨盤(帯)を形成しています。

何故か『関節』と名前がついている仙腸関節(上図赤線)ですけれど、通常の関節にあるツルツルな関節軟骨も滑液(潤滑液)で満たされた関節包もなく、耳状面と呼ばれるザラザラな面と面がくっつき靭帯でガンジガラメで動かさせないようになっています。(骨盤など骨や関節の解剖はこちら

つまりぶっちゃけ、骨盤自体に歪みを生じる関節は無いのであります。

ドアが開いたり閉まったりするのは丁番がスムーズに動くから。ハサミやペンチで切ったり掴んだり出来るのも、梃子の支点となる部分が動くから。骨が動く(歪む)のも同様、腕が曲がるのは肘関節が動くからだし脚をあげられるのは股関節が動くからなのです。はてさて、骨盤帯が動く(歪む)のは何処が動いているのでしょうか。

前傾・後傾

整体師・セラピストの間では当たり前になっている、骨盤の前傾・後傾という言葉。ただこの言葉の意味を正確に理解している人は案外少ないように思います。

通常動きを表す場合は関節名を使います。何故なら筋骨格系の参考書に載っている筋肉の機能は全て関節の動作で表記されているから。関節名じゃない『骨盤』の前傾・後傾に関与する筋肉という表記は無いのです。

反り腰

整体師・セラピストなら、筋骨格系の参考書に記載されている『標準語』を使いこなす必要があります。もちろん、クライエントとの会話はもっと一般的な言葉を使いますけれど、参考書記載の標準語が頭の中にあることが条件です。じゃないとイザという時に参考書が使い物になりません。『曲げる、伸ばす』はもとより、反る、歪むなどと記載している専門書は無いのであります。

ましてや、一口に『反り腰』といっても2つあります。

反り腰という表現ではどちらも同じ

どちらも反っていることに違いはありませんが、実はほとんど真逆の動作なので狙うべき筋肉も全く違うものになるのです。

骨盤矯正=股関節+腰仙関節の矯正

お気づきになりましたでしょうか。骨盤という骨が動く時の支点は股関節と下部腰椎です。

骨盤帯を動かすのはココです

つまり骨盤矯正はこの部分のケアであって、『股関節&腰仙関節』の矯正というのが正しい表現だと思うのです。

腸骨・坐骨・恥骨がまだ癒合していない段階なら本当の意味での骨盤矯正が成り立つのかもしれませんけれど、出来上がってない骨を他人が動かすのは何だかちょっと怖いような気もします。

ちなみに、骨盤を上から見るとこうなってます。

kotuban-ue

仙腸関節は当然前側も靭帯でガンジガラメですが、妊娠出産時はお腹が大きくなることで左右の寛骨を繋ぐ腹横筋(矢印部分)が伸ばされて、人によっては多少(恥骨結合が数ミリ)開くことがあるようです。

お腹が大きくなって腹横筋が伸ばされる。赤ちゃんが産道を通る際に骨盤底の筋群も伸ばされます。左右を繋いでいた筋や靭帯が引き伸ばされたまま放置すると、時間の経過とともに少しずつ本当に開いていく可能性がありますけれど、腹横筋も骨盤底筋群も締め直しが必要なわけで、他人任せの矯正で元に戻すのは不可能です。

何だか難しそうなことを言っていても、実際やっていることは上記のように『股関節&腰仙関節』の矯正だったりしますし、運動やセルフケアの指導なしに手技だけで完結しているようなら、『産後の矯正』としてはあまり意味が無いかもしれませんね。

まとめ

  • 骨盤という関節はありません。
  • 骨盤矯正は股関節&腰椎の矯正。
  • 骨盤前傾=股関節屈曲+腰椎の前彎。
  • 骨盤後傾=股関節伸展+腰椎伸展 or 腰椎前屈。

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