腹筋運動が過去の遺物になったワケ。その運動が本当に効いているのはどこの筋肉ですか?

仰向けで上体を起こす昔ながらの腹筋運動はアメリカ軍の体力測定メニューからも除外され、すっかり過去の遺物になろうとしています。整体師目線で身体をちゃんと見れれば「いまさら・・・」なはなしなのですが、良い機会だからまとめておきます。

腹筋運動の実態

ウサギ跳びとスクワット

腹筋の話をする前に、既に過去の遺物となり消え去った【うさぎ跳び】の話をしたいと思います。

うさぎ跳びが鳴りを潜めたのはスクワットの正しいやり方が提唱され始めた時期と重なるように思うのですがどうでしょう。
『膝はつま先よりも前に出さない』のが身体を痛めない正しいスクワットのやり方なのに、うさぎ跳びだと否応なしに膝はつま先を超え前に出てしまう。これはおかしいとなったわけですね。

スクワットの正しいフォーム・やり方として『膝小僧が爪先より前に出ないように』とは良く言われることなので知っている人も多いと思います。が、単純な答えだけを欲しがるの弊害で、“何故”そうなのか知っている人は少ないのが現状です。

下半身の鍛錬だと思われてきたうさぎ跳びですが、冷静に見たら目的にあった手段ではなかったわけです。目的が『根性を鍛える』であればやっても構わないけれど故障する可能性は付いて回ります。

腹筋運動ってどこの運動?

昔ながらの腹筋運動もウサギ飛び同様風前の灯。随分と前から完全否定派だったワタクシとしては願ったり叶ったりです。

著名なインストラクターや軍の専門家から

  • 時代遅れ
  • 背中や腰回りを痛めるリスクが高い

などの声が上がったそうなのですが、正直なんともボヤッとした理由に驚きを隠せません。
有名フィットネストレーナーらしいアンナ・カイザーさんという方が、「(昔ながらの)腹筋運動だと、腹筋を押し出してしまい、下腹部がますます出てしまう」とBusiness Insiderに語ったそうですが、腹筋を押し出す?って表現がまた実にボンヤリとしていて鼻で笑っちゃう。

トレーナーとかヨガ教師って万事こんな感じの方が多いですね。感覚にばかり頼り過ぎて正確さを欠いているように思うのであります。

そもそも腹筋群の作用は、腹直筋による脊柱の屈曲と腹斜筋による脊柱の回旋、腹横筋による腹部の凹まし(腹圧を高める)。なのに、仰向けの状態から上体を起こしたり座位から上体を寝かせたりで一番動くのはどこかってーと・・・・

腹筋運動の実態。昔ながらの腹筋運動は股関節屈筋軍のエクササイズなのだ

ご覧の通り股関節。腹筋を鍛えているつもりで股関節の屈筋群を鍛えていたというオチです。
足上げ腹筋ならなおのこと。”姿勢維持”だからインナーの股関節屈筋(腸腰筋)のエクササイズになっります。

腹筋運動の実態2。脚上げは腸腰筋のエクササイズだ!

股関節の屈筋群が強くなれば当然股関節は屈曲しやすくなります。立位で股関節が曲がればお尻が突き出てカウンターでお腹も出る。腰椎は前彎が強くなり過ぎて痛みを生じてきます。

股関節の屈筋群が相対的に強くなったら出っ尻になります

【腹筋】と称してやってきた上体を起こすエクササイズや足上げなのに腹筋群への効果は二の次だった。どちらも腹筋へ全く入らないわけれはないけれど別の筋肉がもっと働いてしまう運動だったのであります。目的と手段が合ってなかったんだから無くなってしかるべきってことです。

近頃流行りのプランクはどうか

昔ながらの腹筋運動に変わって近頃流行っているのがプランクと呼ばれるこのポーズ。

腹筋運動の実態。プランクで使う筋肉は?

重力に負けずアライメントを守る際に必要な筋肉は、

  • 頭部の屈筋群
  • 頸の伸筋群
  • 肩周りののインナーマッスル群
  • 腹直筋と腹横筋
  • 股関節の屈筋群(インナーマッスル)
  • 膝の伸筋群

こうやって書き出してみると、屈筋・伸筋ごちゃまぜに効いてしまう事がわかりますね。
プランクは動作ではなくポーズ(姿勢維持)なので効かせたいのはインナーマッスルです。本来の目的は股関節と肩関節のインナーマッスルエクササイズなわけで、目的が腹筋群のトレーニングならこれもやっぱり手段としてはイマイチです。

鍛える必要があるかどうかはさておき(個人的には要らんと思いますが)、純粋に腹筋を鍛えたかったなるべくソコだけ動かすようなエクササイズが○。つまりコレです↓

どうしても腹筋鍛えたかったら腹筋だけ動かすように

骨盤をなるべく動かさず上体を起こしきらない運動なら、余計な筋肉を使わずに済みます。結果、余計な故障を避けられるし腹筋を鍛えることの本当の効果もわかるはずです。

大切なのは一番奥にある腹横筋です。腹を抑え込んでくれる腹横筋は腹を凹ませた姿勢の維持(インナーだからね)でエクササイズできます。必死こいて動かなくて良いのであります。

腹筋運動で膝痛解消?!

「ボクササイズのジムで色んな腹筋を丁寧にやったら膝(脚)の違和感がスッキリとれた。何が起きたのか?」
先日の授業でこんな質問がありましたが、整体師目線で冷静に状態を紐解いてゆけば何ら不思議な事ではありません。『腹筋』って暗示にかかっていただけ(笑)。実際に動かしていたのは股関節の屈筋群。凝り固まってた股関節屈筋を丁寧に動かしてポンプしたらコリが取れたってだけのことです。

世にはびこる不思議系施術テクニックも大半はこんな言葉のトリックです。幼少の頃マジシャンになりたかったワタクシは今でもトリックを見破るのが大好きなのであります。身体に変化を起こすのにもタネや仕掛けがある。タネをわかった上で言葉を操りトリックを仕掛けているなら良いけれど、タネもわからないトリックを曖昧な言葉でごまかしている整体師・セラピストはけちょんけちょんに論破して泣かしてやりますww。

エクササイズにしろケアするにしろ、最も重要なことは

  • 筋骨格系の基礎的な解剖
  • ベーシックな物理

の2点。
身体に関わるお仕事をするなら、どの関節がどっち方向へ動きどの筋肉が力を発揮してるのか正確に見られうようにするのが基本中の基本。
ここをおざなりにして、小難しい理論や最新と言われる理論に傾倒したり、妄想でしかない発想を繰り返したりしてもまるで意味がありません。感覚だけに頼っているから言うことが二転三転します。「これからの腹筋はプランクだー」って言ってる人の5年後が楽しみですw。

ってこんな美味しいネタを先週の教室で話し合ったのに、誰も塾生レポに書かないからワタクシがいただきました。ごちそうさまです。

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パンチ伊藤
パンチ伊藤
12周年を迎えた小さな整体スクール手力整体塾を主宰しています、からだ応援団団長の釣りバカ整体師です。好きなこと得意なことに整体の知恵と技をプラス、個性を活かした働き方を提案しています。

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