「滅多に腕を挙げない人が久しぶりに挙げてみたら上がらなくなってた」
これが四十肩・五十肩の大通パターンだと思います。動かしていれば動くものを動かさなかったが為に動かなくなる当たり前の現象です。
この場合進行は意外とゆっくりなので早く気付けば重篤化せず、ストレッチなどのセルフケアだけでも回復させることが可能です。

先日の教室で話題になったのは別のパターン。
「クリーニング屋さんに勤めて高いところへ手を伸ばしていたのに四十肩になった」
「バタフライで泳いでいたのに五十肩になった」
頻繁に腕を挙げていたのにある日突然激痛とともに挙がらなくなる。そんな事も起こるから身体は不思議で面白いのです。(痛い人ごめんなさい)

症状が違うのにまとめて○○肩?

四十肩・五十肩で良くある症状は大まかに2種類に分類できます。

  • 髪を洗えない
  • 髪を結けない
  • 洗濯物が干せない
  • 吊革に掴まれない
  • バンザイ出来ない

など、腕を挙げられなくなるものと

  • 洋服の袖を通せない
  • 背中が掻けない
  • エプロンが結べない
  • 後部座席の荷物が取れない

など、胴体より後ろへ腕を伸ばせなくなるもの。

症状が真反対なのにひっくるめて『○○肩』とは随分とヌルい感じじゃありませんかね。

本当の○○肩は細分化されます

一応正しくは『肩関節周囲炎』という名前が付いている四十肩・五十肩。多くの痛み同様商売用?に細分化されています。

■肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)
├ 肩峰下滑液包炎
├ 上腕二頭筋長頭腱炎
├ 腱板損傷
└石灰沈着性腱板炎

きちんとした検査で明確になるのは、腱板損傷(断裂)と石灰沈着性腱板炎、肩峰下滑液包炎。なのでこれらは○○肩に含めなくなってきているようです。

石灰沈着性腱炎についてもの凄くわかりやすいサイトがあるのでシェアしておきます。(http://kotoseikeigeka.life.coocan.jp/11sekkaichinchaku.htm

手力的四十肩・五十肩考

整体の対象になるのは当然『精密な検査で原因が特定できないもの』です。
腱板の損傷や石灰沈着性なら、自発痛・安静時痛があるので直ぐにそれとわかるはず。他のものも本当に炎症があるなら安静時痛があるはずなので当然対象外です。

肺ガンや狭心症、心筋梗塞などでも肩に強い痛みが出る場合があるので、お医者さんでの精密な検査は必須ですが、特定の動作に伴った痛みだけなら病院で治療の対象になりませんから(やることありませんから)ワタクシ達の出番になります。(ぶっちゃけ、身体のどこかが痛い時はまず内科!)

突然の腰痛、背部痛、肩こりなど、強い痛みは何科へ行けばいいのか?
腰痛や肩、背中の痛みはどこへ(何科へ)行けば良いのか?きっかけ無く突如発生した痛みや、どんな姿勢をとっても痛い時は、何科を受診したら良いのか悩むところです。肩、背中、腰。体幹の痛みはまず内科!整形外科の領域で急を要するのは馬尾症候群だけです。神経...

ちなみに、教室で話題になったお二人の場合、夜間痛・安静時痛があったようなので、きちんとした検査を受ければそれなりの原因が見つかって適切な治療が受けられたのかもしれません。今となっては後の祭りですが。

肩甲骨と上腕と鎖骨

肩峰下滑液包はその名の通り肩峰と上腕骨の間にあって、棘上筋をはじめとする腱板を守るクッションの様な役割を担っています。ここに掛かるストレスが限界を越え損傷すれば、ある日突然激しい痛みに襲われることになります。『損傷』なので安静時痛・夜間痛もあって整体は対象外です。

動作痛と可動制限がある、原因が見つからない肩の痛み

『四十肩・五十肩』という曖昧な言葉でごまかされてしまう状態が整体の領域です。

「久しぶりにバンザイしてみたら挙がらなかった」みたいな人は、動かさなかった筋のコリを解いて動かすだけなので楽勝。動かし過ぎて突如痛みが出た『損傷』の場合、外科的な処置を避けたら元の状態に戻すのはそれなりに時間がかかるのが事実です。

肩関節が動き過ぎてしまうのは他に動かないところがあるからです。
腕の動きは肩関節だけじゃなく、肩甲骨・鎖骨、つまり肩甲胸郭関節と胸鎖関節の動きを伴います。それらを動かす筋肉は上は頭から、下は骨盤からはじまっているのです。

肩甲骨は何のためにあるか
土曜は基本手技。手短に報告をし合ってからみっちり練習に励みました。ちなみに、練習の際テキストを見ながら行なうのは賛成しません。見てからは有りだけれど見ながらは駄目。自宅で出来る事は自宅でお願いします。基本手技に関しては過去に色々書いているのでこの...

損傷そのものは致し方ありませんが、連動を回復させて偏った負担を取り除くことは、デキル整体師なら可能です。

また、動かしてばかりいると動き担当のアウターマッスル(浅層筋)に偏って、固定担当のインナーマッスル(深層筋)とのギャップが生じます。これも○○肩の要因になります。

インナーマッスル(深層筋)とアウターマッスル(浅層筋)ギャップが開き過ぎて起きること
手力整体塾に入塾すると早々に、アレコレとホームワークが出題されます。「勉強とは教わることではなく気付くことである」という大義名分の元、ある意味手抜きでもあります(笑)。いや、動作別筋肉一覧など資料にしてお渡しすることなど造作もありませんが、勉強の...

クリーニング屋さんはバンザイ方向(肩の屈曲・外旋)、バタフライはピッチング方向(伸展・内旋)。動かしているとはいえ動作に偏りがあれば拮抗筋とのギャップも開きますね。

そんな諸々の理由があるから、ワタクシは筋トレをオススメしないのです。
偏り、ギャップ。過ぎたるは及ばざるが如し。

肩関節と肩甲骨の可動域をみて(つまりストレッチをして)、四十肩・五十肩に近づいているかどうかチェックする場合もありますが、インナー・アウターのギャップはスタビライゼーションの方がわかりやすい。

スタビライゼーション

腕立て伏せの姿勢を維持するだけのこの形で肩甲骨の力を抜いた際肩関節付近に痛みが出るようだと、今柔軟性があったとしても急に痛みが出るリスクが高いです。
セルフケアもこの形でOK。しっかり肩の力を抜いて、左右の肩甲骨を背骨に寄せて(力が抜ければ勝手に寄ります)10秒ほどキープするだけ。

スタビライゼーションのあとはストレッチもしておきましょう。

軽い○○肩ならストレッチで解消

多少の痛みは無理して大丈夫!だけど自分の身体だから自分で判断してくださいね。急に痛くなった人、寝てても痛いような人はきちんと病院で検査ですよ!